オタク女子の王子様はスマホの中から飛び出した!?①






「・・・。え?」


石崎がきょとん。とする。

なんだかんだ、毎日

一緒に登下校していたんだ。

それは不思議に思うだろう。


『俺たち、付き合うことになったから。』


「ちょ、ちょっと、先輩っ!」


私は真っ赤になって慌てる。


「え・・・黒辻が・・・?

 付き合う・・・???」


「・・・えっと、だから、その。」


「おめでとう。」


「・・・え?」


突然の祝福の言葉に戸惑う。


「お前も、とうとう

 リア充かぁ!びっくりだわ。

 先輩!この2次元オタクを

 よろしくお願いします。

 じゃ。先帰るな。お先。」


え。え・・・。え!?

あっけない石崎の反応に

ついていけない。


『ありがとう。

 じゃあね。石崎君。』


石崎は終始、笑顔だが

その笑顔は今まで見たことのない

笑顔のような気がした。

私に、その笑顔の意味が分かるのは

今から、そう遠くない先の話・・・。