「離れてください。」 「やだ。」 「駄々っ子ですか。」 「ううん。」 「じゃぁ離れてください。」 「・・・。」 急に静かになられて 不安になった私は 先輩の方に振り向く。 「先輩?」 振り向いた先、先輩の顔と 私の距離はほんの数センチ。 「ぁっ・・・(近っ・・)」 ふぃっと目をそらしてしまう。 近くで見ると より綺麗な黒い瞳に 吸い込まれそうになる。 長い睫毛に、すっと通った鼻筋。 私とは天地がひっくり返っても 釣り合わない まさに王子様だ。 見た目だけは。