「……。」
…また…夢…?
…真っ暗闇の世界。…何処を見渡しても一筋の光すら無い。…何も、見えない。
「…もういいよ…勘弁してよ。」
溜息混じりに苛立ちながらそう呟くと。
「フフフ…。」
「キャハハ…!」
何処からともなく笑い声が聞こえてくる。
「…!」
思わず耳を塞いだ。…けれどそれは全く意味を成さなかった。どれだけあたしが聞きたくないと拒否しても、拒否すればする程声は大きく、そして増えていった。
「うるさい…。うるさい…!うるさい!」
すると…。
「ゴミがなんか言ってるよー。」
「ゴミは喋んねーだろ。」
「そっか、じゃ人の形をした喋るゴミだね。」
「さっさと消えればいいのに。」
「誰にも必要とされない存在か…。哀れなもんだよね。フフ、まあ…それも当然か。」
…なんなの?どうしてなの!?どうしてあたしはこれだけ否定されなきゃいけないの?!
「もう止めて!」
ガバッ!
「ハァッ…!ハァッ…。う…。ゲホッ…ゲホッ…!」
…しんど…。
ケータイで時間を確認してみると…。
「…6時前…。」
体から力が抜けてボフッとベッドに倒れこんだ。
…なんなの、もう…。
「最悪。」
…そんな言葉を、ぽつりと呟いた。

「あら、おはよう。」
「…ん。母さんおはよ…。」
すると母さんは少し不安げに、
「…なんか元気ないわね、どうしたの?」
「…え?別に何も?」
「…。…そう。」
そう返事をして、母さんは何も言わずに洗濯物を抱えて2階に上がっていった。
ふとテーブルを見るとそこにはあたしの朝食が用意されていた。
「ごめんね。」
…そんな言葉がポロッとこぼれた。

…朝にあったことを思い出しつつ…あたしは今、体育館で集会の話を聞いている。
…あたしが座っている椅子を蹴られながら。
話なんか頭に入りやしない。
…犯人はあたしの後ろに座っている子だ。くすくすと笑いながら軽く、コツン…コツン…と蹴ってくる。
地味に嫌がらせしてくるのが今の子達のやり方のようで。
…まあ、どうだっていいんだけどさ。
あたしは何も思わないんだから意味無いんだけどね。