家に帰ると、まりえは机の引き出しからカッターを取り出した。 親指を滑らせ、刃を出す。 「死んだら……楽になれるの?」 「まりえ?」 コンコンとドアがノックされた。 カッターを慌てて直し、「なに?」とドアに向かって言う。 入ってきたのは、弟の直樹。