トゥルルルル…



午後8時をまわった静かな夜。



一人暮らしの私の家に鳴り響く、一本の電話。



家の電話になんて滅多にかかってこない。



それに、かけてくる人は数えられる程度しかいない。



だから少し胸騒ぎがした。




なんかあったのかな。




見覚えのある番号に、不安が押し寄せた。




こういう時に限って私のカンはよく当たるんだよな。




悪い知らせじゃありませんように…。




そう願って受話器に手を掛ける。




『ちづるちゃん!!駆琉が…駆琉が…!』




駆琉のお母さん、由佳さんからの電話。



悪い予感は当たってしまったみたいだった。