僕は少しあせってきた。

これじゃ何かあっても助けを呼べない。

それまで同じ速度で歩いていた彼女が突然小走りになった。

そしてそのまま路地を右に曲がる。

ピアスもそれに合わせて歩調を早くした。

僕は二人から随分離れていたので走らなくてはならない。

つけてることが、ばれるかもしれないけど今はそれどころじゃない。

見失ったら・・。

そんな思いで二人の後に続いて角を曲がった。

どんっ

曲がった瞬間、何かにぶつかって僕はころんだ。

シューッ

何かが勢いよく噴出す音が聞こえた。

顔にその噴出した液体がかかる。

僕は顔をぬぐった。

べっとりした感触と、嗅いだことがある臭いが鼻をつく。

血?

僕は転んで、すわり込んだままあたりを見回した。

隣には人が転がっている。

その人を中心に、どんどん液体が地面に広がっている。

まさか?

僕はおそるおそる倒れている人に近づく。

ピアスだ。

顔は血だらけで分からないけど、耳のピアスと服装で分かる。

ピアスの男が血だらけで倒れている。

なんで?

僕はあたりを見回した。

誰もいない。

彼女は大丈夫なんだろうか?

僕はそのことだけが気になった。


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第二話へ続く
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