君待ち人





私は“あること”のために、急いで教室に戻った。



“あること”とは、凪雲先輩から貸してもらった数学のノートを机の中に置きっぱなしにしたことだ。


うっかり忘れるところだった。危ない危ない。






「好きですっ!」




教室の扉を開けようとしたら、誰もいないはずの教室から高い声が聞こえてきた。反射的に手を止める。


え、えっ!?まさか、告白中?



扉の小さな窓から中を覗き込むと、教室にはクラスの女の子と白河くんがいた。




白河くん、告白されてる……!


モテモテだなぁ。




女の子は真っ赤になって、手を震わせていた。すごく可愛らしくて、「頑張れ」とエールを送る。



盗み見しちゃって、申し訳ないな。


でも、気になっちゃうんだよね。




白河くんはびっくりした表情をして、恥ずかし気に襟足部分に手を回す。



返事、どうするんだろう。