彼の眼の先には、一体何があるのだろう。
もし何があるのかわかったら、彼が苦しくなる理由もわかるのだろうか。
私は凪雲先輩の心に一歩踏み入れるのが、怖い。
拒否されたらどうしよう。困らせたらどうしよう。そうためらって、すくんだ足を動かすことができなかった。
生徒会長は、踏み入れたのだろうか。
いや、もしかしたら生徒会長は元々踏み入れていたのかもしれない。
彼の心に。彼の苦しさに。彼の抱えている約束に。
凪雲先輩にとっての私は、“この公園で待ち人を一緒に待つ人”ってだけ。
ただそれだけ。
なのに、その関係に寂しいと感じてしまった。
もし約束の男の子が来たら、私はもうここにいる理由がない。
もう待つ必要なんてないんだから、当たり前だ。
そしたら彼は、また私がここに来る前のように、ひとりで待ち人を待っているんだろうか。
ひとりでただひたすらに、来るべき時間を待っているのだろうか。



