瞬間、彼の表情から苦しさが消えて、清々しいくらい真っ直ぐなものに変わった。
よかった。少しでも不安を取り除けたみたい。
「ありがとう、桜ちゃん。そう言ってくれて嬉しいよ」
「私こそ、嬉しかったです」
ちょっとだけ、彼との距離が近くなったような気がした。
誰かを待っている同士、もっと仲良くなりたい。そう思うことは、別に変なことじゃないよね?
「凪雲先輩は、雨の日でもここに来るんですか?」
「まあね。来れる日は来てるよ」
「まさか土日もですか!?」
「土日はさすがに来てないよ。その代わり……」
凪雲先輩は続きを話すことなく、黙り込んでしまった。
その代わり、なんだろう。
気になったけど、雰囲気で察した。
話したくない、そういう雰囲気。
だから私は聞かない。無理に聞きたくはないし、誰にだって言いたくないことのひとつやふたつはある。



