君待ち人






「私には、凪雲先輩みたいに待てません。ただ、泣いているだけかもしれません」



ポツリ。震えた声を吐き捨てた。




泣いたまま、私の中の時間は止まって。


そのままこの視界には何も映せず、哀しい記憶として過ごしていくかもしれない。




「私の待ち人は来ないかもしれない。だけど、そんなこと、待ち人にしかわからないから。……だから、私は信じます。彼のことをずっと」





先ほどと打って変わって、凛とした声音で答えた。



信じることしか、今の私にはできないから。


迎えに行くことすら、私にはできないから。




だから、せめてこの想いだけは失わないように。


この約束だけは、胸の中で灯し続ける。これは、私の希望。






「桜ちゃんの待ち人は幸せ者だね」


「え?」



「だって、こんなに想われてるんだから」





凪雲先輩は私を横目に、苦し気に表情を歪めた。


いやに心臓が痛んだ。