指先が、震える。


今の声は、もしかして……。



反射的に振り返り、頬を濡らした。


一粒も雨が降っていない快晴なのに、おかしいな。透明な雫が、私のところにだけ落ちているのかな。




「……もう、遅いですよ」



やっとだ。やっと会えた。



ぐにゃりと顔が歪んで、うまく笑えない。



今まで我慢してはこらえきれずに溢れていた涙が、今日はひと際視界を霞ませる。


嬉しさのあまり、涙を拭うこともせず、彼に抱きついた。





「凪雲先輩……っ」


「ごめん、遅くなって」




いい。もう、いいんです。


首を振って、涙声で告げる。




「大好きです……!」




ようやく彼に伝えることができた。


今まで抱えてきた、この満開の愛を。




約束は果たされ、桜が幸せそうに踊っていた。