君待ち人





だけど、本当にいいの?


全て、今日で終わり。

卒業してしまう。


明日からは、今日までと同じ日々を送れなくなる。



それでも、度胸がないからとそれっぽい言い訳だけはちゃっかり用意して、また逃げていいの?




「……嫌だ」


気づいたら、独り言を吐き捨てていた。




やっぱり、嫌だよ。

このままさよならしたくない。


私の想いを伝えないまま、明日を迎えたくない。





「凪雲先輩!私……っ」



息を吸って、もう一度告げようとした特別な二文字へと唇の形を変える直前、



「ごめん」



凪雲先輩の心地よい低音にそぐわない謝罪を挿まれ、思考回路が一時停止する。



なんで、謝るの?

何に対しての「ごめん」なの?


意味わからないよ。




「今は、君の気持ちを聞けない」




もしかして、とうに気持ちがバレていたかもしれない。


だから、私に「あなたのことが好き」と告白されたくない。するな。そう言いたいの?




「だから、待っててほしい」




え?待ってて……?


凪雲先輩の眼差しは真っ直ぐで、冗談だとは到底思えなかった。



意味を理解するより早く、下瞼に涙が溜まっていった。