君待ち人





今度こそ空耳で、妄想で、夢であってほしかった。


現実逃避したがる脳内をよそに、体は即座に動き出していた。




『総合病院に今いるの!』




空の横を通り過ぎる時、空の叫びに似た声色が片耳をつんざく。


わかった、と返事をする余裕など持ち合わせていなかった。



走って、走って、とにかく走って総合病院を目指した。




どうして。


どうして海が、事故に遭うんだ。

どうして今日なんだ。



今日は海の笑顔を見れるはずだった。海と最高に幸せな時間を過ごす予定だったんだ。


それなのに、どうしてだよ。




俺は走りながら、ポケットに入っているラッピングされたハートのネックレスを握り締めた。



海の喜ぶ顔が、見たいだけなんだ。

好きだと、言いたいだけなんだ。





神様。これは、幼馴染という関係にあぐらをかいていた罰ですか?







総合病院に着いた。


三階の三〇五号室にいると空に教えてもらう。



病室へ急いだ。「病院内で走らないでください」と看護師に注意されたが、無視した。