何を、と言われなくても、伝わる。
私が初恋の男の子であるしーくんを待っていた時と、同じ。
いつまでも約束を待ってくれているんだ。
私を、信じて。
待ってる側の気持ちは痛いくらいわかるのに、私は何をしているんだろう。
いつか、いつか。そうやって引き延ばして、自分の都合を押し付けている。
大人になったら、という「もしも」の空想は、あくまで「もしも」でしかない。実際どうなるかなど、誰にも知る由がない。
約束を、守りたい。
たとえ消え失せることのない約束だと断言できても、守れる機会はおそらく大人になるにつれ減っていく。
私は、緋衣ちゃんを裏切りたくない。
……ううん、そうじゃない。そうじゃないね。
緋衣ちゃんに、話したい。私が今まで溜め込んできた、秘密も、憂鬱も。
「緋衣ちゃん」
「ん?」
今度は私が、約束を果たす番だ。
「もう、待たなくていいよ」
「……それって……」
「文化祭の時で申し訳ないけど、よければ話、聞いてくれる?」
おずおずと尋ねれば、緋衣ちゃんは速攻で頷いてくれた。
「もっちろん!」



