君待ち人






「あ、あの!」


「ん?」



凪雲先輩がベンチに座る前に、ベンチから立ち上がった。




「実は昨日、初恋の男の子が……私の待ち人が、ここに来たんです」




激しい鼓動を押さえつけながら報告した。


凪雲先輩は一瞬驚いたが、すぐに嬉しそうに微笑んでくれた。




「そっか、よかったね」


「はい!」



「じゃあ、もう、ここに来る必要はなくなったんだね」



「は…………い、って、え?」




一瞬、息をするのを忘れてしまった。

急激に心拍数が下がっていく。




あ……そうだ。


待ち人が来たのなら、もうこの公園にいる理由はない。




凪雲先輩にとっては、何気ない言葉だったかもしれない。


けれど、私には、“もうここには来なくていい。さよならだ”と言われている気がしてならなかった。