「三吉に……桜ちゃんに俺の存在を知ってほしくて金髪にしたり、桜ちゃんにだけよく話しかけたりして。……俺が『しーくん』だって、気づいてほしくて、ずっと待ってたんだ」
男の子の名前は、白河圭くん。「しーくん」か「けーくん」で迷って、響きで「しーくん」に決めたんだ。
昔は、なよなよした女の子みたいな男の子だった。
でも最高にかっこよくて、大切だった。
「だけど、桜ちゃんは俺にまったく気づいてくれなくて……我慢できなかった。もう限界で、泣いてるお前を見たら、抱きしめてた」
白河くんが、私と約束を交わした、あの男の子。
そうわかった瞬間、絡まっていた糸がほどかれていくように、“あの日”の情景がひらひらと舞い散っていく。
思い出すことにあんなに苦戦していたのが嘘みたいだ。
「しーくん……なの?」
「ああ」
「本当に?」
「ああ」
「……っ、しーくん!」
また、会えた。
約束が、果たされた。
衝動的に白河くん……しーくんの背中に腕を回した。



