風が、吹く。残暑と混ざり合い、生ぬるい。
葉の擦れる音が、聴覚に馴染んでいく。
微風に弄ばれた髪が邪魔で、はっきりとは直視できなかったけれど、凪雲先輩は確かに涙を堪えていた。
正直に言いすぎた私の思いが原因なのか、夏休みに通っていた場所が関わっているのか、私には到底推測できなかった。
凪雲先輩、どうか一人で我慢しないで。憂鬱を抱え込まないで。
「凪雲せんぱ……」
凪雲先輩。
泣いてもいいんですよ?
「――凪雲くん!!」
おずおずと声をかけようとしたら、タイミング悪く、聞き覚えのある声色に遮られてしまった。
公園の出入り口から聞こえた呼び声に引き寄せられ、二人同時に顔を向ける。
「……空」
「会長?」
なんで会長が、ここに?
いつも整っている髪は、少し崩れていた。肩で呼吸をする姿を、初めて見る。どこからかはわからないが、全速力で走ってきたらしい。
「凪雲くん!!海が、さっき……っ、さっき声を……!」
「っ!」



