私はほのかな笑みをこぼし、窓の外の公園に目を向けた。
あの公園で、男の子とした約束が果たせる日まで、待てる。そのことが、きっと私のいいこと。嬉しくてたまらないことだ。
ずっと、ずっと待ってた。
心の中で、男の子のことだけを。
でも、もう違うんだ。
心の中だけじゃない。ちゃんと形として、男の子を待てる。
「ふーん。桜、すごくいい表情してる」
「本当?」
「うん。そんな可愛い笑顔見ちゃったら、無謀じゃないかもなって思えてきちゃった」
可愛くないよ。
と心の中で反論しつつ、緋衣ちゃんの明るさに元気をもらう。
「ま、頑張ってよ。
男の子、来るといいね」
「うん!ありがと、緋衣ちゃん」
私が笑顔で頷くと、緋衣ちゃんは照れながら「どういたしまして」と言って、新作のメロンパンを一口頬張った。
約束をした六歳の春から、十年。
十六の春に、私は約束を抱えて君を待つ。



