昨日より肌寒い風も、ぴょんと跳ねた前髪も気にならないくらい、また会えて嬉しい。
「夏休み、公園に来ませんでしたね」
「あぁ……うん。別のところに、行ってたんだ」
「そうですか」
凪雲先輩との間に空白を置いて、ベンチに座る。
目の渕から覗き見た彼の横顔は、センチメンタルな雰囲気を纏っていた。
また私は、無配慮な言葉を発してしまったのだろうか。
さっきまでの喜色の気持ちに、ヒビが入る。どんどん薄れて、色褪せて、陰っていく。
別のところって、どこに行っていたんだろう。
そう聞く前に、凪雲先輩が口を開いた。
「桜ちゃんは、毎日来てたの?」
「はい、一応……」
「えらいね」
「……いえ、そんな」
えらくなんて、ない。
ただ、公園に来れば凪雲先輩に会えるかな、って。初恋の男の子がもしかしたら来てるかも、って。そう思って、毎日通っていただけだ。
えらいところなんて、どこにもない。
毎日一人ぼっちで、寂しかった。



