夏休みは駆け足で過ぎ去り、暑さが和らぐ九月になった。




夏休みの間、私は放課後の時間帯、ずっと若葉公園に来ていた。


けれど、凪雲先輩は、一度も来ることはなかった。



夏休み中、彼はどこにいたんだろう。




凪雲先輩には、公園で待ち人を待つことよりも、もっと大切な何かがあったのだろうか。




蝉の大合唱の騒がしさに負けず、日光をたくさん浴びながら、私はずっと初恋の男の子を待ち続けた。


たった一人、熱を集めたベンチに座って。




一人だったあの空間は、あまりにも寂しくて。


ポツン…と一人だけ取り残されたような気持ちになった。



涙も、悲しみも、こぼれ落ちることなく、私は雨の日も風の日も待ち続けた。




夏休みの長い長い期間、私は一日も休むことなく公園へと足を運んだ。


凪雲先輩の姿も、初恋の男の子の姿も見ることなく、時間だけが虚しく過ぎていった。





凪雲先輩も、私がこの公園にやってくる前は、こんな気持ちで待ってたのかな。



それとも、私の気持ちとは別に、何か感じていたのかな。





私はそんなことを考えながら、日々を過ごしていた。