結局、会長に何も言うことができないまま、生徒会室をあとにした。
あ、そうだ。カバンを教室に置いたままだった。
なんとなくぼうっとする意識をなんとか起こして、教室に戻った。
教室に入ると、白河くんが残っていた。
「何してるの?」
「あれ?三吉、まだ帰ってなかったのかよ」
「うん。ちょっと用があって」
「ふーん。俺は、今日提出してなかった課題プリントしてたんだけど、今終わったとこ」
白河くんの明るい声は、空っぽな私の脳を冴えさせた。
私はカバンを手にしながら、「お疲れ」と労わる。
「……なんかあった?」
「え?…………何も。何もないよ」
聞かれるとは想定しておらず、不自然に目が泳ぐ。語尾もか細くなってしまった。
会長との会話を、白河くんに相談しても仕方ない。
それに、あれは私への忠告だ。
白河くんには、言えない。
「そっか」
白河くんはそれ以上何も聞かないでくれた。



