君待ち人





「夢、か……」



凪雲先輩も、私を真似て、空を見上げた。


空の青さが、チカチカ、虹彩に沁みる。

昼休みに見た夢も、キラキラしていた……気がする。



記憶を片っ端から探ってみても、どこにも夢を保存しているメモリーは存在しない。

思い出したい気持ちばかりが、膨らんでいく。



あの夢は、忘れてはいけない。私の記憶のどこかに潜んでいる、思い出の一部。


そんな気がしてならないんだ。




「夢は自分の願望だって、よく言うよね」




凪雲先輩は浮かんでいる雲を目で追いかけながら、ポツリ呟いた。


自分の願望?夢が?



私が昼休みに見た夢も、願望なのだろうか。


いや、あれは違う。願望なんかじゃない。


実際あった、過去の日々。わずか一瞬の時間だけをくり抜いた、思い出だ。




どうしてそう断言できるんだろう。

妙な自信を持って、そう確信してしまう。




「俺は、夢は時々自分の中の大切な記憶を引っ張って見せてくれる、そう思ってるよ」