君待ち人





相変わらず綺麗な桜に惹かれ、見とれながら、桜の木の下まで歩いた。


私はしーくんの手をぎゅぅっと固く、それでも壊さないように優しく握った。




『僕……絶対戻ってくるから。また戻ってくるから、そのときは……』




桜を数えていた眼が、私を撫でる。


しーくんのまん丸な瞳は、いつになく透明に濡れていた。

奥に引き込まれそうな……もういっそ、引き込まれてしまいたいくらい、ずっと見ていたい瞳だった。




『僕の彼女になってね』




目尻をくしゃっと細めるしーくんに、私の目は潤んでいき、ついに涙がこぼれた。

頬に滴る涙の温度に、また泣けてくる。




『大好きだよ』




姿形はないけれど、曖昧じゃない。単純で複雑な恋慕を贈られ、ブンブン頷いて応える。



『うん……うん……っ!』



私も大好き。


そう伝えたかったけれど、どうもうまく声が出せない。



たまらなくもどかしくなって、頷くことで「大好き」の想いを届けるしかできなかった。