凪雲先輩はもっときつく、きつく、壊れるくらいきつく握り締めた。そのせいでちょっと痛い。
どんな夢を見ているのだろうか。
どんな夢が、彼をそんなに不安にさせているのだろうか。
彼は何に怯えて、何に悔やんで、何を「行くな」と引き留めているのだろうか。
「凪雲、先輩……」
私には何もできない。
凪雲先輩の不安を安らぎで上書きすることも、彼の気持ちに寄り添うことも。
それがどうしようもなく虚しくて、指先が固く力んでしまう。
私はここにいる。ここにいるよ。
どうしたら、この思いが希望へと変身させられるんだろう。誰か、教えて。
「行くな……、行くな……っ」
いくら手を握り返して、「ここにいるよ」と紡いでも、彼には一切届かない。
私じゃ、ダメなんだ。
なぜか私まで心苦しくなって、涙がこみ上げた。
その涙が決して流れないよう、必死に我慢した。
なんで私が、泣きたい気持ちになってるんだ。こんなの変だって、わかってるのに。



