「大丈夫ですか?」
「うっ……い、行くな……」
「え?」
いきなり右手を掴まれた。
凪雲先輩の温もりに、ドキッ、と胸が高鳴る。
凪雲先輩……?
「行くな……っ」
苦しそうな寝言と共に、私の手をさらに強く、優しく握り締める。
どこにも行くな。そう言われているようで、どうしたらいいかわからなくなる。
寝言だってわかってるけど、彼があまりにも悲しそうで。
「……ここに、いますよ」
気づいたら、戦慄した手のひらを握り返し、そう囁いていた。
私は、隣にいます。
近くに、そばに、……ここにいます。
「行ったら……ダメ、だ……。今、伝える……から……っ」



