昇降口へ進むスピードがだんだん遅くなっていき、ついには一旦足を止めた。
さっき掴まれた腕に、触れる。
「何を、言いかけたんだろう」
腕には未だに白河くんの手の感触が残っている。
あの大きな手のひらは、こ刻めに震えていた。
絶え間なく降る雨の音が、脳内にガンガン反響して、うるさい。
切なくて、淡くて、不器用な
初恋の男の子への純情が、なぜか今更、心を丸ごと包み込んだ。
私は校舎を出て、公園へ急いだ。
ちょっと遅くなっちゃったなぁ。
早足で歩き、公園に着くと私は、
「こんにちは」
と、いつものように挨拶をした。
「……」
……あれ?
いつも返ってくる挨拶が、今日は返ってこない。



