また私は、彼を暗闇に追いやってしまったのだろうか。
また私は、彼を泣かせてしまうような何かをしてしまったのだろうか。
張り詰めた沈黙が、長く漂う。
心臓をえぐられているようで、もどかしかった。
私は無意識に踏み込んでいたの?
凪雲先輩の心にある、立ち入り禁止ゾーンに。
私はそこに、土足で上がり込んでしまったの?
知らない間に、私は彼を傷つけているのだろうか。
そしてまた、凪雲先輩はどこか遠い場所を眺めた。
こういう時、いつだって同じ場所を見据えている。
苦しそうに波を打つ瞳には、一体何が映っているのか。
私はそれを知らない。
知っているのは、彼が辛そうなことだけ。
……多分、そうさせているのは、私だ。
方向も場所もまったく同じところをなぞっている、薄い茶色の瞳を覗いてみても、私には雨の景色しか見えなかった。



