「付き合ってないよ」
清々しい返答が、雨音を引き裂く。
え、と吐き捨てそうだった吃驚を、寸前で飲み込む。
付き合ってなかったの?
ずっと付き合ってると思っていた。
なんだ、勘違いだったんだ。
「幼馴染なんだよ、俺ら」
「そうなんですか」
ようやく、今までの二人の言動に忍ばせていた正解が、わかった。
幼馴染だから、体育祭の時に会長は「大切な人」というお題に対して、凪雲先輩を選んだんだ。
幼馴染だから、凪雲先輩が会長のことを「空」と名前で呼んでいるんだ。
そう納得すると同時に、さっきまで感じていた息苦しさがすーっと消え、楽になった。
「俺と空と………」
「……な、ぐも先輩?」
急に黙ってしまった凪雲先輩を不思議に思い、足元に転がしていた視線を隣にずらす。
あ。
また、泣きそうな瞳。



