君待ち人





どうして副会長が、こんなところにいるの?




ベンチには、花丘高校の生徒会の副会長である藤城 凪雲【フジシロ ナグモ】先輩が座っていて、驚く。



「……君は、」




副会長の薄い茶色の瞳も、私を捉えた。


少し低くて透き通ったその声に、なぜだか心がゆらゆら揺れた。





「うちの生徒、だよね。確か、三吉桜さん」


「は、はい、そうです……けど、なんで名前を?」


「一応副会長やってるから、全校生徒の名前を覚えてるんだ」



副会長は平然とした顔でそう言いながら、おもむろに立ち上がった。


全校生徒の名前、全部!?すごい記憶力だ。





「で、三吉さんはここで何を?」



「あ、えっと……。ふ、副会長こそ、何をやっているんですか?」





私はなんて答えればいいかわからず、質問を質問で返す。




「俺は――人を待っているんだ」




え……?