ふいに気持ちが弱気になってくる。
胸の奥から何かが込み上げてくる。
「美奈、明日も学校休みだろ?また探そうよ、ね?」
尚陽くんが、土にまみれたあたしの顔を覗き込む。
「うん…」
あたしは尚陽くんの差し出した右手に、そっと左手を重ねた。
「しっかし美奈さん。」
「なに?」
「顔、泥だらけだよ」
いやいや、あたし以上に泥で汚れた貴方に言われたくないです。
「登山コースからは、まだそんなに外れてないはずだよ。行こう!」
尚陽くんがあたしの手をキュッと引っ張った。
…なんだか今日の尚陽くんは男らしいなぁ。
あたしが泣きそうなときには、ちゃんと支えてくれる。
「ありがと」
「へ?何か言った?」
「何でもなーい!」