「はぁっ…はぁ…」



「ここまで来れば大丈夫かな…?」




あたしは息を整えて、顔を上げた。



木に囲まれて真っ暗だ。





「ウソ…あたしたち登山コースから外れてるよ…」



マムシが現れたせいで、無我夢中で走ってるうちに、登山コースから外れていた。




「これじゃ今どこにいるか分かんないよ…」




気がつけば、もう日が傾き始めている。



「美奈…大丈夫?」


「うん…」



尚陽くんが優しくあたしの肩に触れた。




「もう今日は帰ろう?」



「でもっ…」



「これ以上いたら、暗くなるし帰り道も分かんなくなるだろ?」




そんな…






「やっぱ白い花なんて無いのかな…」



「美奈…」






「不可能だったのかな…一瞬しか見たことのない花を探すなんて…」