「マジですか、美奈さん。」
なんで敬語なんですか、尚陽さん。
「マジよ!近くの桃の木山に行って、その花を探すの!」
「でも…」
尚陽くんが、もごもごと何かを言いたそうにする。
「でも、絵本の中の話だろう?図鑑にも載ってないってことは、実在しないんじゃないの?」
「そんなことないよっ!」
あたしは幼い頃、お兄ちゃんと一緒に“白い花”を見たことを話した。
現に、お兄ちゃんだってプロポーズの時に白い花を由陽さんにプレゼントしてる。
だから、探せばきっとあるはず!
「俺、山登り苦手だよ?」
「はい、何も聞こえない。じゃあ、明日の9時、尚陽くん家で待ち合わせね。山登りするわよ。」
「えー…」
お兄ちゃんと由陽さんの為だもん!
このくらい、何てことないよ!


