「いいじゃん、それ!じゃあさっそく花屋で下見を…」
「ちょーっと待った!!」
あたしは尚陽くんの裾を掴んで引き留めた。
「へ?」
ビックリしている尚陽くん。
「あのね、花屋には売ってないの。」
「じゃあ魚屋か。行こう」
「魚屋じゃ、もっと売ってないわ!!」
「じゃあ何処にあるってのさ?」
あたしは一息ついて、尚陽くんに告げた。
「年に一度、山奥にしか咲かない名前の無い花なの。図鑑にも載ってなければ、お店にもないの。」
「え…」
尚陽くんがポカーンとしている。
そりゃ、無理もないけどさ…。
「じゃあ…どうするの?」
尚陽くんがあたしの顔を覗き込む。
「行くのよ」
「え?」
「探しにいくのよっ」


