真っ暗で何も見えない。微かに差し込む光が、余計に恐怖感を煽った。




『おにーたん、もう戻ろうよ~…。みな怖いよ。』



『ばか。おまえ“白い花”を摘むんだろ!?見つけるまで俺は帰んないぞ!』



そう言うと、お兄ちゃんはずんずんと手を引いて先へ進んでいく。



どれくらい歩いたか分からない。



足が痛い。




『おにーたん、もう、みな帰りたいよぉ…』



あたしが泣き出しそうになると、お兄ちゃんは『あっ!』と叫んだ。






『あった…』








あたしの眼に映ったのは、一面に広がる“白い花”…







『すごい…ホントにあるんだ…』





あたしとお兄ちゃんは手を繋いだまま、そこに立ちすくんだ。



あまりの綺麗さに、言葉を無くしてしまった。




と、その瞬間。




『アンタたち何してんの!』



いきなりの怒鳴り声に驚いて振り返ると……お母さん。