卒業式マジック?


もう二度と会えないわけでもないのに、なんでこんなに悲しいんだろう?寂しいんだろう?




『確かに、僕はたくさんのモノを失った。

だけどね、それと同じくらい、たくさんのモノを得たと思ってる』


あの子の声が、頭の中でこだました。


『得ては失い、失っては得る。

そのくり返しは、だけどたぶん僕だけじゃなく、君もだよ。だから、』







視界が、かすんだ。

きゅっと唇を噛む。







『言っとくけど、僕は不幸でもかわいそうでもないよ』





まだ咲かぬ桜の大木の下で、両手で目をおおった。



・・・本当だね。