柿太郎【短編】

おじいさんは柿太郎の装備なんか『ひのきのぼう』と『なべのふた』で十分だと内心思っていましたが、柿太郎の巧みな話術にノセられていつの間にか装備を貸す事になってしまったので、コレクションの中からそれなりの物をシブシブ貸してやりました。

それなりの装備でしかない事、そして貸す時「転売なんかしやがったら分かってんだろうな?」などと釘を刺す所など、さすがはしっかり者のおじいさんでした。

それでも柿太郎ていどの低レベルプレイヤーにはもったいない程の装備で、柿太郎はアッサリ調子にのりました。

「じゃあサクッと行って来るわ。武勇伝期待していてねー」

こうして柿太郎の冒険は幕を開けたのでした。

その五分後、柿太郎の姿はおじいさんたちの家にありました。

おじいさんは言いました。

「おお柿太郎よ。死んでまうとは何事だ」

調子にのった柿太郎はちょっと強めのモンスターに挑みかかり、アッサリ殺られてセーブポイントに戻されたのでした。

こうして柿太郎の最初の冒険は幕を閉じました。

仕方がないのでおばあさんはお腹にある四次元アイテムボックスからテイムアイテムをやる事にしました。

「テイムす~る~や~つ~」

おばあさんは口で効果音を言いつつアイテムを掲げて見せてから柿太郎に渡してやりました。

こうして柿太郎の二度目の冒険は幕を開けたのです。