中央パークでの出来事からひと月が経った。



俺はあの雑誌をちゃんと買った。



早く彼女に見せたくて。



彼女が来る前にそのページを開くと、クラスの女子たちの視線が集まる。



少しザワついた雰囲気になった。



そのタイミングでガラガラと教室のドアが開き、彼女が入ってきた。



すかさず声をかける。




「ひよ、おはよぉ!」




「お、おはよ…」




遠慮がちの返事が返ってきた。



それは女子たちのザワつきのせいだ。




『なんでアイツが?』




『翔、なんか変わったよね。』




俺にも彼女にも、間違いなく聞こえる声で。



そんなことにも構わず彼女を呼ぶ。




「ひよ、こっち来いよ。ほら、こないだの!」




さっきまで見ていたページを指さした。



タイトルは




《今ドキ!
街で見かけた美男美女カップル♡》




あからさまに困った顔をする彼女。




「百河くん、私こんなの聞いてな




『これ、どういうこと?』




彼女が言い終わる前に割り込むように1人が話しかけてきた。



うつむく彼女の手は固く握られ、小さく震えていた。




「なんで私に聞くの…私だってわかんないよ!」




そう言い残して彼女は教室を飛び出していった。