「だから、わたしはここを離れない。キキが何をしようが、多分ずっと」 キキは静かにわたしの顔を見つめた。 その目の奥で驚きが波打っているのが分かった。 しばらくどちらも話さなかった。 紫と水色の貨物列車が線路を走る間が、永遠のように思えた。 わたしがいて、キキがいる。 それは付き合っているときから変わらない。 けれど今はもう、わたしたちの世界にあるのは、春一番のようなものだけだった。 恋愛感情でも友情でもなく、互いを互いに押し出そうとする突風だけ。