血の雫








「ドロップ……?」

「アキナ、おはよう」




僕は何もなかったように装いながら、笑った。

アキナは目元を細くして、同じく笑った。




「おはよぉドロップ。
気持ち良くて、寝ちゃったよ」

「静かな場所だからね。
お昼寝には最適な場所だと思うよ」




チャンス、逃がしちゃったな。

まぁそのチャンスを逃したのは、僕なんだけどね。




「そろそろ教室戻る?
先生に怒られちゃうからさ…」

「そうだね」




あの空間に戻るのは疲れるだろうから嫌なんだけど。

今は…何でだろう、凄く戻りたいと感じるな。

今は…アキナの傍にいたくない。

アキナの首筋に食い込むだけ考えてしまいそうだから。



アキナを傷つけるのは…嫌だと思うのに。

アキナを傷つけなくちゃ…駄目だと思う。

これじゃあいつまで経っても、僕は駄目な吸血鬼のままだ。

早くどうにかしないと、ムーンライト家当主の座が、誰かに取られてしまう。



僕にはキョウダイがいないから、継げるのは僕だけ。

僕以外の吸血鬼が継ぐなんて許されない。



どうしよう…。

僕は一体、どうすれば良いんだろうか?