「そこでドロップは、あなたと同じよう人間の少女と仲良くなったんです。
ですが…その少女はドロップが吸血鬼だと知った途端、クラスメイトと一緒にあの子を化け物呼ばわりしたんです」
化け物呼ばわり…!?
確かに吸血鬼は人間じゃない。
だからといって、化け物扱いすることないじゃない!
あたしはドロップをかつて責めた名前も知らないその少女に、怒りを感じた。
「ドロップはそのせいで、ますます心を閉ざしたんです。
元々吸血鬼の世界で人間は危険な人物だと、学校で教わるんです。
それをドロップは…人間界に降りて、感じてしまったんです。
それ以来家に閉じこもってひたすら勉強三昧ですよ。
1日に話すのはご飯を部屋に届けに来た使用人とだけ、というのも珍しくありませんでしたから…」
あたしは涙が止まらなくなっていた。
あんなに無邪気な笑みを浮かべるドロップの過去。
誰からも愛されず、誰も信頼できないドロップの心の闇。
自分が体験したことじゃないのに、凄く辛かった。
「だから正直、ドロップを再び人間界へ送るのは不安もありました。
また同じように化け物呼ばわりされたら、あの子はどうなるのだろう、と。
ですが、心配はいらなかったみたいです。
アキナさん、あなたがドロップの閉ざされた心を、解放してくれたんですよ」
プラートさんが笑う。
外見はとてもドロップに似ているけど、笑顔は違った。
プラートさんはお父さんらしい、とても暖かい笑顔をしていた。


