プラートさんは再び話し出した。
その後ドロップが歩んできた、哀しい人生を。
「母親を殺したんだ、という負い目を背負ったまま、ドロップは学校に入学しました。
わたしは、ドロップに言ったんです。
あの子は1人っ子で、ムーンライト家を継ぐべき立場なのだから、頑張って勉強するように。
ドロップはわたしの言うことを信じて、クラスメイトの誰とも関わらず勉強しました。
元々ドロップは人見知りで話し下手だったので、親しい友人が1人もいなかったのです。
ただ…人間界でもあるようなことが、吸血鬼界にもあることを、わたしは忘れていたのです」
「何ですか……?」
「……いじめ、です。
ドロップはクラスメイトの少々素行の悪い生徒にいじめられたんです」
嘘…でしょう?
あんなに人気者だったドロップが?
だから暫く女子たちに囲まれて、少し体調を崩したんだ。
慣れていないって…そういうことがあったからなんだ。
「その上ドロップはムーンライト家に泥を塗れない、とわたしや使用人にそのことについて何も言わなかったんです。
まぁわたしも仕事に追われてあの子と話す機会はありませんでしたし、使用人もあの子と本音の会話は出来ませんでしたから。
誰にも相談せず、ドロップはいじめに耐え続けたんです。
それがずっと続いて、さすがに耐えきれなくなったドロップは、人間界へと逃げたんです」
ドロップが、人間界に……?
前にも来たこと、あったんだ。


