「あの…あたしの勝手な思い込みだと思うんですけど。
吸血鬼って、不死身じゃないんですか?」
「不死身ですよ。
血さえ吸えればね」
「え?
じゃあ何でドロップのお母さんは…?
もしかして、吸血鬼じゃないんですか?」
「わたしもあの子の母親も、吸血鬼です」
じゃあどうして……。
「あの子を生む際に、とてもギリギリでしてね。
人間の言葉で言うと…難産、とでも言うんですかね。
外に出て吸血することは不可能で。
病院食…みたいなもので血は出るんですけど、飲めるほど安定していなくて。
あの子が無事に生まれてすぐ…あの子の母親は亡くなりました。
もう少し早くあの子が生まれていれば、助かっていたんですけどね」
そうだったんだ…。
吸血鬼の世界も、厳しいんだなぁ。
「それをムーンライト家に仕える使用人たちが話している所を、偶然ドロップが聞いてしまいまして…。
ドロップはそのせいなのか、母親を殺したのは自分だと責めているんです」
「そんなっ……!」
「勿論あの子のせいではありません。
母親があの子を生むのに手伝った医者も、もう少し早く行動出来ていれば良かったのですから。
あの子は全く悪くありません。
ですが母親の両親やわたしが何度ドロップは悪くないと言っても、ドロップは自分のせいだと言って聞かないんです」
ドロップ…。
あたしはこぼれ落ちた涙を拭いた。


