吹雪先輩…
柱の陰から先輩を覗くのももう日常になった今日このごろ。

はぁ、美しい…

「…」
『美しい…』
「…おい、貴様。」
『うきゃばぁっ!?』

我ながら女らしくない声が出た。
ていうか私の眼鏡どこ落ちた?
さっきの声持ち主は誰?

あぁもう頭がパンクするっ!

「ーだからっ!貴様だ!このオレが話しかけているんだぞ!眼鏡か!?ほら、眼鏡ならそこにあるだろう!?」

男の子は指先で床を指した。
ぼやける視界でそこを確認する。

『眼鏡だ!!わぁぁあ!ありがとう!』
「…まずいいから眼鏡をかけて俺を見ろ!」

私はとりあえず眼鏡をかけ、男の子を見つめる。あらまぁ、随分と整ったお顔で。

『で?どうしたの?君誰。』
「……」

男の子はふかぁあーく、それはもうふかぁあーく、ため息をついて私を見つめた。

「貴様は…光野財閥を知らないか?」
『知ってるよー。いっぱい経営とかしてるとこでしょー?』
「…」

だからなんでため息をはく。失礼ですよ。

「俺の名前は!光野秀弥!!」
『へぇー……え???』
「だからっ!光野財閥の御曹司だ!」

これが私と彼の出会い。