これからどうしようか、と考えた時、
どこからか教会の鐘の鳴る音が聞こえてきた。

(そう言えば……町外れにある教会の噂を聞いた事があったわ。
 確か、そこで祈りを捧げれば、願いが叶うって……)

――街はずれの教会で、私は、一人の青い髪の青年と出会う。
――その青年は、とても悲しい目をしていて、何故だか私は、彼を放っておくことができなかった。

青い髪の男
「……とにかく、あなたには関係のない事です。
 お気持ちだけ頂いておきますよ」

優しい笑顔、穏やかな口調。
それなのに、彼の言葉は私を静かに拒絶する。

アイリス
(確かに、今会ったばかりの私には、関係のない事だけど……。
 でも……)

青い髪の男
「それじゃあ、そろそろ本当に僕は行かなきゃ。
 君も気をつけて帰……」

アイリス
「いいえ。私、帰りません。
 ……今更、帰れないわ」

青い髪の男
「え……?」

この人が消えてしまうような気がしたのは、きっと間違いじゃない。
ここで私達が出会ったことも、きっと偶然じゃない。

アイリス
「危険なのは、あたなも同じでしょう。
 お願い、私も連れて行って。迷惑はかけないから」

――青年は、名を【リュグド=エルバロフ】と言った。
――――誘拐された人を捜していいるという彼を手伝うため、私は彼について行った。

リュグド
「お母さんが病気で…………そう。
 それは、大変だったね。
 良かったら、僕を、そのお母さんの所へ案内してくれないかな」

少女
「えっ?」

アリス
「……りゅ、リュグド?」

リュグド
「これでも、多少の医学の知識ならあるつもりなんだ。
 もしかしたら、何か役に立てるかもしれない」

少女
「本当?!」

アリス
「ちょっと待ってよ、リュグド。
 人捜しは良いの?
 気持ちは解らなくはないけど……」

リュグド
「……うん、ごめん。
 でも、目の前に助かる命があるかもしれないんだ。
 それに、困っている人を放ってはおけないよ」

――困っている人、弱い人を放っておけない優しいリュグド。
――でも、そんな彼が悲しい目をする理由は、ある大切な人の死が原因だった。

リュグド
「彼女は、死んだ。
 ……ボクが殺したんだ」

アリス
「……え?」

私は初め、彼が何を言っているのか解らなかった。
リュグドは、いつもと何ら変わらない優しい笑みを浮かべている。
風が強かったから、聞き間違えたのだと思った。

だから、もう一度、聞き返そうとした時、
彼が改めて言い直した言葉に、私は言葉を失った。
今度は、ヤケにはっきりと聞こえた。

リュグド
「僕はね、この手で人を殺しているんだよ」

アリス
「っ!?」


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