「すきな奴、お前……って言ったらどうする?」


「…え、えっ?」




困惑した表情で、視線を彷徨わせるひな。


…もう、ひなが誰がすきだろうがどうでもいいや。


オレの方に、無理矢理でも振り向かせるから。




「じょっ、冗談…だよね」




髪の毛を耳にかけながらそう笑うひな。そんなひなにオレはクローゼットに押しやった。


とん、とクローゼットにひなの背中がつく。後ろにはクローゼット、前にはオレ。


逃げ場は、ない。




「冗談でこんなこと言うほど、バカじゃないんだけどオレ」


「……っだって!」


「…なに」


「だって…っ私、いつもなぎさくん迷惑ばかりかけてずっとずっと…嫌われてるんだって思ってた…。意地悪だし…」




……それはごめん、マジで謝る。




「……ひなの前だと、素直になれねえんだよ」