「…だから、ひぃって呼ぶなって」
「どうしてですか?先輩の友達だって“ひぃ”って呼んでるじゃないですかぁ」
…うるさいな。あんたは友達でもなんでもないんだから、気安くあたしの名前を呼ばないでよ。
チッと舌打ちをこぼして、お弁当箱を乱雑に開け横で喋る奴はフルシカト。
いちいち構ってられない。大体無理矢理ここに連れてこられたようなもんだし。なんでこいつにあたしが振り回されなきゃいけないの。
「…先輩、僕のこと嫌いです?」
「嫌いだよ。あんたみたいな自己中でわがままで、何考えてるかわかんない奴」
そう言うと奴はいきなりあたしの腕を掴んで、じっと見つめてきた。
いつもの、かわいらしい顔なんかじゃなくて、男らしくてキリッとした顔。
そんな表情で見つめられるもんだから、心臓が大きく飛び跳ねた。
「な、によ」
「先輩。僕ね、こういうこと先輩にしかしないですよ」