『そう言ってくれるひとがいるだけでもありがたいんだから、感謝しなきゃ』
ね?、と言えば暁斗はふっと目を細めて笑った。そしてあたしの頭をゆっくり撫でた。
「そうだな。…お前の言う通りだな」
『よし、そうと決まれば由実さんに会いに行こう!』
見ていた雑誌をパタンと閉じて、暁斗に笑いかけた。
唐突に言ったあたしに暁斗は目を丸くしていた。
「は?今…?」
『そう!早くしないと母の日終わっちゃうでしょっ!』
暁斗の腕を引っ張って部屋から出た。
「おいっ、行くって…」
『まず由実さんの好きなケーキ買って行こ!』
下に降りると下っ端のみんながどうしたのかと不思議そうにあたしたちを見つめていた。
「稚里っ?暁斗くんとどこか行くのー?」