『ねえ、暁斗?母の日に何かあげた?』
あたしは雑誌に目を向けたまま暁斗にそう問いかけたが、なにも返事が帰ってこなかった。
不思議に思い、首を動かせば眉間にシワを寄せ顔を背けた暁斗が見えた。
『?、あげてないの?』
「……まあ。つか、今親と喧嘩中なんだよ…」
話を聞けば、ほんの些細なことで口論になりお母さんである由実さんと喧嘩をし一週間は口をきいてないらしい。
…あの温厚な由実さんと喧嘩ねえ…。
『じゃあ、仲直りがてら何かあげたら?』
「………んなことできっかよ」
眉間のシワはより深くなり暁斗のイライラゲージは増していた。
出来ないって…。まあでも、男の子だから気まずいっていうのもあるのかな…。
『んー…でもさ、このままにするのもよくないんじゃない?』
「………」