僕にはストーカーまがいの彼女がいる。ストーカー、と時点で「は?」と不快感を覚える言葉なのだが、僕と付き合う前までは本当に普通の女子高生だったんだ。
…いや、僕の前にいた彼女は偽りで、本当の姿がストーカー女だったのだ。
「…陽菜、邪魔」
「あ、ちょっと我慢して!この表情のなぎくんがっ…!」
「うるさい邪魔だってばこのストーカー女」
なぜか僕の横顔を必死に携帯のカメラでおさめてくる彼女の顔を押しのけ、勉強に取り組む。
「あああ、なぎくんっ」
「うるさい変態女。邪魔だって…」
「違うの!はい、勉強おつかれさま」
そう言って笑顔で差し出してきたのはブラックの缶コーヒーだった。
…こういうところは気遣えていい子なんだけれどな。
「…ありがとう」
「ううん!なぎくん頑張ってるの知ってるから」