ざばあっ。

がつ─────んっ。


「あだっ。」


何かが額にクリーンヒットし、思いっきり仰け反った。
痛い。
額も痛いが、シャンプーが目に入ってそっちも痛い。

何?
何なんだ?

近場に掛けておいたタオルで目元を拭ってから、おそるおそる目を開けて、


「ハロー。」

「……は?」


…びっくりした。

いや、言いたいことはいろいろあるかもしれないが、取り敢えずびっくりした。


「ハロー。」


いやいや、ハローじゃなくて。
ハローとかハーイとか、ここは日本でそれは英語だとか、そんなことはどうでもよくて。


「ハロー。」

「ハローじゃないから!」

「何だ、聞こえてるんじゃん。」


思わず叫んで応えれば、真っ赤な髪に真っ黒な目をした女の子が、お湯塗れでそう言った。

この際、彼女の容姿はどうでもいい。

問題は、

バスタブから出てきたということだと思う。